「なに、これ」

「リストバンド、じゃぁ~ん、俺とお揃い」

 アキラの腕にあるリストバンドと、俺の手の中にあるリストバンド。って、これプレゼントか? なんで? 

「俺、別に誕生日とかじゃねぇし」

「誕生日じゃなかったら物あげちゃいけねぇの?」

「ん、そんなんじゃ、ない」

「だろ? ありがたく貰っとけって」

「……うん」

 なんで、俺にくれるんだ……。

 それからのアキラも変わりなく「まだかなぁ」なんて言いながら、俺たちは土手に背中を預け、まだ暗い夜空を見上げてた。

 そう、見上げてたんだ。

 やべぇ、眠い……。昨日あんまり眠れなかったからな……。

「あ、俺ジュース買ってくるわ」

 突然、アキラが上半身を起こした。

「お、おう。迷子になんなよ」

「ならねぇよ」

 そう言い残して、アキラが遠ざかっていく。

 その背中を見送って……遠ざかって……ヤベ、意識が……。