なんか、啓介と話してるっぽい。でも、目が怖いっていうか、睨まれてるっていうか。

 あ、啓介の奴、手なんか振りやがって……へらへらしてんじゃねぇよ。

 そのまま、俺は亜美とネットを挟んで、向かい合うように立った。

「負けないから」

 そう、一言、亜美に言われて、俺の目も見ようとはしない。

「ああ」

 俺だって素っ気なく返事するしかねぇだろ。

「お願いします」

 互いに審判に一礼をして、散らばる。

 昨日のうちにトスだけはしてあったから、どっちが権利を持つかは決まってた。亜美がサーブ権を持っていった。だから、俺はレシーバーの位置に着く。

 こい、亜美。

 俺だってテニスに関しちゃ意地があるんだ。恋に負けてもテニスは負けねぇ!





 試合が始まる、俺は、この緊張感が好きだ。