素直になれば


「誰に手、振ってるの?」



「おっ、沙那!里愛ちゃんだよ。可愛くね?あの幼さ。」





「うん、超可愛い!」




少し里愛ちゃんの話しで盛り上がってから、教室を出た。





「今日みたいなの久しぶりだし、これからも滅多になさそうだし、どっかよって帰るか?」




「ううん。いい。」




珍しかった。
いつもの沙那なら、きっと喜んでどこかに行くはずなのに。



俯いてしまった沙那を不思議に思って、顔を覗き込んだ。