「な、里愛♪」
秀が急にあたしに話を振ってきたけど、内容がまったくわからない。
「…え?」
「里愛?」
「ううん、なんでもないよ!」
秀には、笑顔を見せた。
その瞬間だった。
「准弥(ジュンヤ)〜!」
誰かの声が聞こえてきた。
「沙那。」
逆井先輩の言葉でわかった。
今の声は、沙那さんだ。
逆井先輩って、准弥って名前だったんだ。
あたしは、何にも知らなかったんだ。
ズキン…。
ズキン…。
一刻も早く、この場を離れたい。
いくらなんでも、辛すぎるよ…。
調度その時、バスが到着した。
早く、乗りたい。
みんなから、離れたい。
そんな思いで、あと少しで着くバスを見ていたときだった。


