「藤本さん、本当申し上げにくいんだけど…
あなたは病気にかかっています。」
え…?
理解できない。
脳が全然ついていかない。
医者は説明を続けている。
あたしの耳には全然入ってこなくて、
なぜか耀介の顔ばかり浮かんで、
よくわからない不安に襲われ
次々に涙が溢れた。
唯一聞こえたのが、
『根本的な治療法がない』という事。
ボロボロと泣き続けるあたしに、
医者はもう戻っていいよと、
優しい声でささやいてくれた。
院長室を出て
あたしはフラフラゆっくり歩く。
もう何がなんだかわからなくて、
その場にしゃがみ込んだ。
すると
「おいっ、結仁どうしたんだよ?!」
通りかかった耀介が
あたしの元へ駆け寄ってきた。
心配そうにあたしの顔を覗き込む耀介を
あたしはぎゅっと抱きしめた。
「耀介ぇ…。」
「結仁、どうしたんだよ。
医者になんか言われたのか?」
あたしは答えられなかった。
本当の事を言ったら耀介は
あたしの元を離れるんじゃないかって。
「結仁、そこで待ってろ。
俺医者に話し聞いてくるよ。」
耀介はあたしを置いて医者の元へ言った。


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