家に帰って、あたしの決心はまた揺らいだ。

あたしの部屋には、圭太の思い出が詰まったものばかり。


ふかふかの水色のソファでは、圭太と一緒によくDVDを見た。

コルクボードには、一緒に行った遊園地や映画の半券がいっぱい貼ってある。

アクセサリーケースには、クリスマスにもらったネックレスが入ってて、箱からはみ出ているココナッツのお香は、圭太が好きだった香り。

借りたままのマンガもある。


「忘れられるわけなんてないよ」


圭太の触ったものには、全て圭太の思い出が染み付いている。

目をつむれば、一緒に過ごした光景が思い浮かぶ。


圭太とは、もうドキドキが感じられないのは事実。

だからといって、無理に離れて忘れようとするなんて無理。


あたしは自分勝手かもしれないけど、また圭太に電話をしてしまった。