好きな人はｽｶｳﾄﾏﾝ。

「あたしさ～、遠距離恋愛した事あるって話したぢゃん～？」

「うん、高校生の時だよね？」

「そうそう、それでね～」


由佳は天井を見上げ、懐かしそうな顔をして話し始めた。


「その時の彼氏は年上で、もう社会人だったんだけど、転勤先の福岡は遠くてなかなか会えなかったから、いつも淋しかったんだ～。

しかもね、社会人は昼間仕事してるわけだから、なかなか連絡も取れないし～。

夜は夜で、慣れない土地って事もあるのかいつも疲れてすぐ寝ちゃうみたいだったから、電話するのも悪いかなって思って我慢してたの～」


「うんうん」

へぇ、由佳もそんな遠慮とか、可愛い面もあるんだなぁ、と思い、相槌を打ちながら聞いていた。

「でね、久しぶりにこっちに帰ってきて～、ビジネスホテルにお泊まりした時、彼氏が携帯を無造作に置いたままシャワーを浴びに行ったから……」


「その時に見ちゃったんだ？」


「そうなの～……」