好きな人はスカウトマン。

助手席の前のダッシュボードには、あたしの知らないぬいぐるみが乗っている。


あたしが前回乗った時には居なかった、クマのぬいぐるみが座っている。




「これ、なに?」


クマを触りながら、震えた声で聞いてみる。



「あぁ、彼女が置いていった」




―――彼女??




聞き間違う訳がない。


圭太は今確かに「彼女」と言った。



頭が混乱する。
胸がざわつく。



「え?圭太、彼女出来たの?」



「うん……」



「……そんな事言ってなかったじゃない」


「聞かれなかったから」