好きな人はスカウトマン。

「スカウトは、どうして始めたの?」


ずっと聞きたかった事が、やっと素直に口から出たのは、カフェに入ってから30分が経った頃だった。


それまでの30分間、まるで離れていた時間を埋めるかのように、あたし達はお互いの近況を報告し合った。


それで、なんとなく昔の雰囲気を取り戻せて、やっと素直になれたから聞けたのだった。



「ずっと、やりたいとは言ってたじゃん、美雪と付き合ってた頃も」


「そうだね、言ってたね」


「それで、美雪と別れて、ちょうどいいタイミングで友達から誘われたんだ」