それからの私は自分の競技に出たり、テントから競技を見たりしていた。
自分の競技は得意の運動神経で一等。
普通の徒競走だったし楽だった。
相変わらず金田と伊月は毎競技でて女子に騒がれてる。
「あっ!」
金田が伊月に抜かれた。
熱があるのに今のとこの4競技全て出てる。
それでも伊月と張り合っている。
ばかだろ。
なんて考えても、実は金田の体調が心配で手に汗を握っている。
早く、早く終われ!
こんな体育祭!
「リュー。どうかしたか?」
珍しく夏目先輩が私を呼んだ。
「えっ?どうかしてるように見えます?」
「いや、焦っているように見えたからな。」
「…まぁ…こんなに早く終わってほしい体育祭初めてですよ…」
「……」
夏目先輩は私をじっと見つめる。
何だろう。
「大丈夫だ。」
「へ?」
え、バレた?
テレパシーだろうか。
謎に満ち溢れる夏目先輩なら、テレパシー使えますって言われても納得できる。
「信じろ。」
本当にどうした夏目先輩。
無表情だから本気かも分からない。
少しすると夏目先輩は目を細めた。
あ、笑った。
「…と言われると、安心するだろう?」
「っびっくりした…」
歌舞伎の家の人間だからか、一つの言葉に強さがある。
"大丈夫""信じろ"
たった2つの言葉なのに私はだいぶ楽になった。
「脅かすつもりはなかったんだ。すまん。」
「いいえ、だいぶ安心しました。」
金田なら大丈夫な気がする。
もし倒れたら私が助けてやる。
どうせ金田は、今言ったって止めやしないから。
っていうか金田は倒れるような弱い人間じゃないから。
なんて根拠のない信頼があった。


