パァンとスタートの合図が鳴り、6人は走り出す。
なんて奇妙な光景なんだろ。
ってか、はえええ!
「あれ?障害走だよな?」
目の前の障害たちが意味を成していない。
特に金田と伊月はおかしい。
バットを地面に付け、回ったはずなのにまっすぐ歩く。
跳び箱だって、12段を飛んだ。
となりに5段の跳び箱あるのに。
網だってスイスイ進む。
よもや気持ち悪いわ。
対して赤丸、大輔、佐々木トリオは一般より早いくらいのスピードで進む。
問題はアイツだ。
バットの影響でよろよろ千鳥足で歩くのは、山田改め轟。
喧嘩は強いのにどうして運動出来ないんだ?
年なのか?
いやでもまだ25歳だろ。
まだまだ行ける年齢だろう。
「頼りにならんな…」
私は頭を抱えた。
「実際、栗原さんは金田くんと高橋くん、どちらとデートしたいの?」
「したくないっていう意志は察してくれないんですね、残念です。」
本当に残念です。
全生徒のトップの人間が同じ生徒会の人間の意志もくみ取れないなんて…。
「で、どっち?」
無視ですね、わかります。
今日もいい腹黒い笑顔ですね。
「そもそも、私は恋愛経験ないし、ましてや家が男ばかりなので2人でどこかへ行くのは慣れてます。金田でも伊月でも同じですよ。」
「…そう。」
なにか言いたげな沢村先輩だったが、ただメガネを中指で押し上げてレースを見た。
ちょうど伊月がギリギリで金田より早くゴールしたとこだった。


