第一種目、障害走。
徒競走など、足の速さに自信がない人がでる種目…のはずだ。
「なんでお前らレース占領してるよ。」
金田、伊月が出るならまだわかる。
なんで大輔と佐々木と赤丸がいるんだ。
そもそも、お前らも景品だって分かってるのか?
「おもしろそーだからー!!」
「バカなの?」
「バカじゃないよ。それより、バレてないと思ってるの?栗原さん?」
「…なにが?」
まさか大輔にバレたのか、私の最終兵器。
「僕学校全員の名前と顔を把握してるけど、あの"山田"って人知らないんだよね。」
大輔が指を指す先。
レースの一番外側にいる彼。
体操服には"山田"とかかれ、顔は厳つく、似合わない丸メガネ。
それはどう観ても…
「轟さんですよね?」
ば れ た。
天然佐々木は、また今回も容赦なく訪ねた。
轟の老け顔は、流石に高校生には混じれなかったようだ。
佐々木でさえ見破る始末。
「え?と、轟って誰っすか?…ボク山田っす!」
なんて棒読みなんだ。
ああ、轟に頼まなきゃ良かった。
バカだもんコイツ。
老け顔だもんコイツ。
ダメだ、と思ったとき…
「あれ?そうなんですか?すみません、よく似てたんで!」
なぜ信じる佐々木!!!!!
明らかにオッサンな顔だろ!
轟も"ふぅ"じゃねぇよ!
バレバレだっての!!
「まあ、山田くんってことで。会長も気にしてないし…先生方も放置だし。」
「…いいのかこの学校…」
仕掛けたのは私だけど、つくづくこの学校が心配になった。
テントの下で涼しげに休む沢村会長を横目で見ると、"面白いから良し"と書いてある気がした。
お前らは快楽主義か。


