金田が仏頂面で、15枚、と国木田先生にプリントを差し出す。
国木田先生は、ん、了解って軽く返事をした。
「お前さぁ~よく沢村のむちゃぶりに乗ったなぁ。」
むちゃぶりとはデートの件だろう。
「会長に刃向かうほど命知らずじゃないです。」
「ふぅん。自分の女を他の男とデートさせても平気なのか。」
「自分の女?」
「栗原だろ。付き合ってるんじゃないのか?」
「「それは勘弁!!」」
おかしなことを言うな、国木田先生!!
どっからどう見ても、そういう関係には見えないだろう!!
率直に出た言葉が金田と重なる。
「…そうなのか…」
ちょっとびくつきながら、国木田先生は言った。
「こいつは俺の部下ですよ。なぁ庶務?」
「…ああそうだな。副会長。(お前は私の舎弟だぞ?)」
私は意味深な笑みを金田に向ける。
金田も意味を察して笑った。
((やっぱり仲良いじゃねーか。ほんとに付き合ってねーのか?))
「つか本当に高橋伊月ムカつくな。なんだあの態度。」
「怒るなよ。あいつも遊びたいだけなんだよ。」
「それになんで女子お前だけしか友達いねぇんだよ。ぼっちか!!」
「お前が言うな!!伊月はお前と違って女嫌いじゃないんだよ!!!」
「ますますなんでお前なんだよ!」
「…さあ?」
確かになんでだ。
なんでだ。
((それって好意抱いてるからじゃねぇの?鈍いの?コイツら))
国木田先生の声なんて私たち2人には全くわかるはずなく、国木田先生はため息混じりに15枚のプリントを渡してきた。
「ま、楽しめばいいんじゃねえか?青春を満喫しろよ!」
国木田先生はニカッと笑った。


