【赤丸side】


リューちゃんとキンちゃんが消えて、静まる部室。


「赤丸くん、現状を詳しく。」

「はい?もしかして…その為に2人を…」

「どうでしょうね…さあ、教えてください、何があったんですか?」


敬語の時の沢村先輩は何かを企んでる証拠だ。
ニヒルに笑う様子が物語る。
俺はその笑顔に顔を歪ませた。


「リューちゃん争奪戦っすよ…D組の高橋伊月とキンちゃんが。」

「…そうですか。」

「まさか、会長…このことを読んでたり…」

「会長って、たまに遊べるから楽しいですよね。」


会長は楽しそうだ。
会長の最近の玩具はリューちゃんとキンちゃん。
見るからに2人で遊んでる。
俺は絶対あの人の玩具だけは嫌だ。


「栗原さんは気が付いてないみたいだよね。」

「…それに金田は自覚していないようだな。」

「面白いことになってきましたね~。」


実は周りの人間の方が2人の様子をよく見ている。
2人をみる周りは面白がっている。


「…なんだかよくわかんないです。」


シン以外は。
話に付いていけない佐々木は、少し疎外感を感じているようでしゅんとしている。
犬だ。


「シンも鈍感だしねー。」


かわいそうだからシンの頭を撫でる。
かわいそうだよね、こんな面白い展開に気が付かないって。
なんて考える俺は、沢村先輩のことを言えないくらい、ねじ曲がってるのかもね。