拉致られて今、部室で体育祭の資料作成に没頭する私。
赤丸は私見てニヤニヤしている。
正面にいる金田はぼーっと窓の外を見ていた。
…仕事をしろバカども。


「ねぇ金田先輩。体育祭本気出すんですか?金田先輩なら優勝間違いなしですね。」


長い沈黙を天使が破った。
…破ったじゃない破壊した。
可愛らしい笑顔が辛さを倍増させた。
お前無意識なんだよな…


「べ、べつに出さねーよ。出す気ねえし…」

「なんでふてくされてるんですか?」

「あれ~キンちゃん?高橋伊月くんになんていっ…」

「あああ!!蚊がいるぞ!!!」


金田のパンチが赤丸の頬をギリギリかすった。
どこの誰が蚊をパンチで潰すよ!?


「…キンちゃん…そこまで照れなくても」

「照れてねえ!!」


なんて言いながら真っ赤な金田。


「なんで照れる必要があんの?生徒会の意地を張っちゃっただけでしょ?」

「………リューちゃん本気で言ってる?」

「は?本気も何もあるかい」

「まじか…」

「よかった…」


金田と赤丸が同時に溜め息を付いた。
なんだよ、なんかいったか。
その時、沢村先輩のメガネが光った。


「栗原さん、金田くん。この資料15枚コピーして、国木田さんに許可印もらって、掲示板と廊下に掲示。行ってきてもらえる?」


なにやら楽しそうだ。
いや企んでる。