「こらこら、リュー落ち着いて。」

「落ち着いてる。」

「そうだ。お前はその手を離せ。」

「やだね。デートの練習だし。」

「は!?」

「ふざけんな。栗原は誰ともデートさせねえよ。」

「へぇ。この学校で俺に勝てる奴がいるの?」

「いるね。生徒会を舐めるなよ?」

「ふん、いんじゃない?体育祭、楽しみにしてるよ。」


伊月がようやく腕を放す。
話の展開が意味不明すぎる。
て言うか、金田は何を言ってんだ。
伊月が去ると金田に視線を向ける。


「お前…何言ってんの?」

「…やべっ、ノリで言っちまった。」

「面白いことになってるね!キンちゃん!」

「「!!?」」


金田の後ろから赤丸が満面の笑みでやってきた。
やばい。今の聞かれてた!?


「確かに高橋にリューちゃんは取られたくないなぁ。」


やっぱり聞かれてた。


「俺も協力するよ。キンちゃん!!まあでも、生徒会の人間でキンちゃんに勝る運動神経の持ち主はいないけど。」

「ほう、流石立花の鬼だな。」

「…朝飯前だ。」


金田は目を反らすと、私に資料を預けて任せたと言うと行ってしまった。
ていうか、どうしてこうなった。
金田の背中を見て考えていると、赤丸がニヤニヤして私の肩を叩いた。


「なんだよ、その顔。」

「生まれ付の美形だけど?」

「黙れ。」