生徒会だなんて、他を当たるべきだ。
私になんてそんな綺麗に見られる人間じゃない。

だって私は…



すぅ

息を大きくすう。

ガラガラ


「帰ったぞ。」

『押念!お帰りなさいませ、お嬢。』


第七代目栗原組の長女。


「竜希。」

「なに、父さん。」


大柄な男の人、栗原崇。
まあ、私の父さんなんだけど。見た目は頑固そうなオジサン。
その通り頑固頑固。
でも若干ぬけてる。


「話がある。」

「りょーかい。」


稽古場でお話か。
こりゃ珍しい。
相当深刻なんだろ。
稽古場は一番奥の畳の部屋。
自分の部屋に荷物を放り投げ、稽古場へいく。
障子を開くと、すでに先客…弟がいた。


「あ、竜希!!」

「座りなさい。」


紹介しよう。
栗原隆樹。現中学2年。
私といろんな意味で正反対の弟。
私は隆樹の隣に座る。
あぐらで。


「最近な、栗原組の気性の荒い奴らが喧嘩をしてるんだ。」

「いつも通りじゃん。轟とかでしょ。」


轟とは栗原組一、頭がラリっちゃってる糞やろーだ。
とてもバカ。
ケンカバカで妹バカ。
昔、妹が男の子と話してるだけで、「貴様、良い度胸だな。決闘だ!」って言ってたっけ?
ただのバカだ。


「ちょっと気になることがあってな。最近やられる相手が高校生だ。おそらく同一人物だろう。」

「恐いね。その高校生。轟倒すとか相当だな。」

「竜希。その高校生だが…恐らく…晴蘭高校生だ。」

「…げっ。じゃ、じゃあ、私はあまりその件に関わらない方がいいねっ!栗原組ってバレちゃうしねっ!!じゃあ、勉強してきます…。」


冗談じゃない!
栗原組ってバレる訳には行かないでしょ!
私の青春真っ盛り(?)の幸せな高校生活をポイッとするのか?
嫌だぞ。
ポイ捨てはよろしくない!
私はそそくさ、急いで部屋に向かう。
だが、鬼畜親父は私に言った。


「竜希。そいつを栗原組に勧誘しろ。」


い、イヤダアアアア!