「そんなもん、あるわけないじゃん!!!」


近づいてくる赤丸の顔に手を押し付けて言う。
このやろー、顔立ちは整ってるし。
なんか爽やかな香りしちゃってるし。


「好きなタイプはー?」

「ないっ!!好きになったこともないっ!!!!」

「未恋!?」

「何だよ未恋って!!」

「未だに恋してない。略して未恋!」


バカにしてるだろう、赤丸!
デコピンをかますと赤丸はようやく離れ、つまらなそうにため息をついた。


「なーんだ。みんなロクに恋してないんだね。」


でも、たしかにこの美麗集団が恋してないってのは不思議。


「仕方ないよ。私達は仕事が恋人みたいな物だし。」

「えっ。そんな頻繁に仕事ありましたっけ。」

「栗原さんがきてからのこの2.3週間は暇な期間だよ。来週から体育祭の準備!」

「何をするんだ?大輔。」

「僕もよくわからないです。」


大輔に私と佐々木が食いつく。

「(目がキラキラしてる!小動物みたいだ…!!)えとね、競技の規制とか…企画とか…」

「ちなみに、今回は私の企画で個人競技での最高得点王にはスペシャルな景品を用意してます!」

「………!?」


ぞわぁっ。
沢村先輩がニヒルに笑い、メガネをくいっと上げた。
やばいっ!!


「ぐぅ……」

「……金田??」


静かな部屋に小さないびき。
それは金田のものだった。


「はぁ、マイペース…」

「キンちゃんいっつも寝るの早いんだよね…」

「………」


意外だ。
案外ガキだなぁ。
そう思いつつ布団をかけてやる。
今日は金田の意外なとこたくさん見た。
なんて自然に笑みがこぼれた。


「…………」