すると、障子の外からお待たせしましたと声がする。
障子をあけ、栗原の父…組長さんと弟くんが入って真ん中に座る。
「お待たせしましたな、生徒会の皆さん。」
重く低い声が響く。
…この間会ったときは、ゴタゴタしてたから気が付かなかったけど、威厳のあるお父さんだなぁ。
「竜希は着付けが上手く行かなくて少し遅くなる。先に始めよう。」
あー、あれだけ抵抗すればな。とみんな思っていた。
組長さんはずっしりと座って生徒会の面子を見渡す。
「私は栗原崇だ。よろしく頼む。」
組長さんは小さく頭を下げた。
ますます異次元に来たような感覚。
「まずは、金田くん。君は栗原組に入る、ということで良かったかな?」
「え、はい。でも犯罪とかは…」
「安心しなさい。栗原組は犯罪は犯さない。」
「そうなんですか?」
「とくに何もしちゃないんだ。栗原家は昔はそりゃあデカいヤクザだったが、最近は元ヤクザを集める施設みてぇになっちまってる。このご時世、一度道を間違えたら世間様に差別されちまうからなあ。」
「保護なさってるってことですか?」
沢村先輩が言う。
興味のある話なんだろう。
「いや、保護まではいかんよ。ただ居場所を作ってやってるだけだ。」
「で、なんで俺なんですか?」
「君は道を誤ってないし、何より強いだろう。栗原組の粛正役ってとこだ。連中の中には、馬鹿なやつがいるからな…」
組長さんは大きくため息をついた。


