【金田side】
じゃ、と栗原は部屋を出た。
取り残された男6人と轟涼子。
「…涼子?」
静まった部屋にマルちゃんの小さな呟きが広がる。
みんながマルちゃんを見る。
対するマルちゃんは涼子さんを驚いたように見る。
「…俊樹くん?」
呼ばれた涼子さんもマルちゃんの名前を呼ぶ。
俺達男5人は"あれ、俺たち邪魔じゃね?"と本能で察した。
「涼子、久しぶりだね!なんでここにいるんだよ?」
おっとぉ!
ますます除け者な5人。
自然と一歩下がる。
「話すと長くなるけど…とにかく今はこの家で暮らしてるの。」
「そっか…8年ぶりか…凄い綺麗になったね。」
「………!!!!!」
マルちゃんは通常運転。
可愛い女の子をほめ潰す攻撃。
涼子さんにも技は効いているようで顔を赤らめていた。
「おい、マルちゃん!!」
マルちゃんの後ろから俺が小さな声で言う。
「あぁ、涼子は俺の幼なじみ!!8年前に涼子が引っ越してからあってなかったんだけど…こんなとこにいたんだね。」
「それは挨拶しないといけませんね。私は会長の沢村幸隆です。お尋ねしますが…栗原さんとはどんな関係ですか?」
「竜希ちゃんのお世話係です。」
「お、お世話係…お金持ちだなぁ栗原さん。」
「竜希ちゃん自身は嫌がってるんですよ。普通がいいって。」
「…なぁにが普通だ。アイツの存在自体がイレギュラーだぜ。」
俺はとことん竜希を貶す。
今更、普通になりたいだなんて。
変なのがアイツ。
俺の中で方程式が出来ちゃってる。
そんな俺の様子を見て涼子はああ!と声を上げた。


