うんうんと私は頷く。
やっぱり男は着物だよ。
浴衣だけど。
一番男らしくみえ…………る?


「佐々木。」

「は、はい。」

「お前は…女か?」

「真顔で言わないで下さい!!!激しく傷つきます!!!!」


涙目で訴えてきた。
いっそ女の着物着せれば良かったか?と悪戯が思い浮かんだ。


「栗原。」

「何?」

「お前は…男か?」

「うるせぇ!女だ。」


金田は私の胸を見つつ、私が言ったことと同じように言う。
セクハラだ!と私は自分の身を抱きしめた。
訴えるぞ!!!!!このバ金田!!!


「金田…止めなよ。」


金田を哀れな目で見ている大輔。
それに、と大輔が私に近寄る。


「な、何?」

「女の子なら胸元、気にしなよ。男の前なら特にね。」


大輔は私の襟を閉めた。
いつもは家のやつしかいないから、多少はだけても誰も何も言わない。
だから全く気にしていなかった。


「気になったか。ゴメン。」

「いえいえ。」

「大輔ってお母さんみたいだな。今度から母さんって呼んでもい?」

「…遠慮しとくよ。」


大輔は苦笑した。
オールバックから少し前髪が落ちている彼のヘアースタイルで着物だと、いつもはない色気を出しているようだった。


「私は正装に着替えてきます。変わりにこの子置いていきます。時間になったら案内してくれますから。」


おいでと言うと、襖の影からポニーテールの女の子が姿を表す。


「轟涼子です。よろしくお願いします。」


涼子は大人っぽく優しく笑った。