「会長、プロって…」


この中にプロという人がいたんだろうか。
会長に聞いてみる。


「見てなよ。」


会長は隣の夏目先輩に目をやる。
夏目先輩はさっさと脱ぎ始め、マイ着物を手に取る。
拝借する着物はみんな違っていて個性が見られる。
あっという間に夏目先輩は着付け終わった。


「はやいっ!!」

「夏目先輩、慣れてますね。」

「…まあな。みんなも早くしろ。」

「は、はい。」


とは言っても初めての着物。
着方なんてわかるわけがない。
俺を含め、みんな脱いだは良いものの着れなくて悩んだ。
表情が乏しい夏目先輩は眉をハの字にして、困った顔をした。


「…悪かった。まずは…」


と、無表情ながら夏目先輩が始めから着直し、1から教えていった。










【竜希side】


そろそろ着替え終わっただろうと、客間に向かった。
轟曰わく、着方がわかるから誰も付いていないそうだ。


「栗原です。着替え、終わりましたか。」


襖の前で一言言う。


「ああ、終わってる。」

「失礼します。」


金田の返事が返ってきたのて、すぐに襖を開く。
すると私は息をのんだ。


「え、」


目の前の6人はそりゃあ様になっていて、さすがイケメン集団だけはある、と納得してしまった。
長い間、和服の男(厳ついオッサンばかり)を沢山見てきたけど、こんなに目の奉養になるのは初めてだ。
なんだかキラキラしてる。


「何固まってるの?リューちゃん?」


ニコニコだかニヤニヤだかわからない笑みで近づく赤丸。
おっとぉ、フラグが上がった。
これは…ヤバいぞ、と私は少し後ずさりするが…


「俺に見とれちゃった?」


わざわざご丁寧に耳元で囁いてくれる。
ぞわっといつもの寒気。


「だ、誰がっ!!」

「つれないなぁ~。」

「…でも、まぁ、私がセレクトしただけあって似合ってるんじゃないか?みんな。」