「此方です。」

「あれ、ここ…」


ん、ここは確か…。


「この前来た客間ですね。」

「へぃ。金田殿が来たときにお迎えした客間でございます。」

((金田殿!?))


みんなは苦笑いだった。
なんだかさっきから待遇が良すぎやしないか。
すると轟さんは懐かしむように言う。


「いやあ、あんときはお嬢との関係を知らず、俺達無礼なことをしてしまって…いやまさか、こんなところでキs…」

「セイヤァアアア!!!!!!!」


話の途中で俺は轟さんの顔の前で手をたたき、叫んだ。
轟さんは情けなく、ひぃっと驚いた。

他は唖然。
現状が全く理解出来ない。
なんてこと言い出すんだ!!!


「な、何してるの金田くん?」

「………か、蚊が!!!いたんです!!蚊が!!!!」

((いやいや嘘でしょう。))


見え透いたあからさまな嘘だ、とでもいいたげな顔をする。
するとマルちゃんがニヤァと嫌な笑みを浮かべる。


「キ~ンちゃん。」

「な、なんだよ、マルちゃん。」

「…………いや、何でもないよ♪」

「ご、誤解すんなよ…!!」


嫌な汗が流れる。
マルちゃんの言葉の間に、ものすごく嫌な物を感じた。
語尾の音符が怖い!


「…赤丸レーダーだね。」

「そうだな。」

「「???」」


3年生は現状を察した様子。
しかし、大輔、佐々木コンビは未だにキョトンとする。
いやいや、絶対誤解なさってるでしょ!!


「轟さん…驚かせてしまってすみません。此方で着替えればいいんですね?」

「えぇ、はい。あ、お着替え難しいようでしたら、誰か付けますが?」


ぜひ、と言おうとしたところに会長が割って入る。


「いえ、結構。うちにはプロがいますから。」

「あ、そうですか。…では…」


そういって、轟さんほか3人は荷物を置き、部屋から出て行った。