【竜希side】


その後、私は金田に引っ張られて外に出た。
現状把握が全く出来ていない。


「なんで嘘ついたんだよ?」

「今日の仕事は終わったんだ。そりゃあ帰るだろ?」

「急がなくたってよかっただろ?ましてやステージに上がるなんて!」

「だめですよ。」


後ろから沢村先輩たち5人が来る。


「なんでですか?」

「計算ミース。リューちゃん聞いてないよー?歌が得意なんて。」

「危うく受かるところだった。」

「えっ?」


私がオーディションに受かる?
そんなわけ…。
次の瞬間、金田が私の頭をぐしゃぐしゃにした。


「なにすんだ!金田!」

「なんかムカついた。帰るぞ。」


目も合わせずに行ってしまう金田。
となりで赤丸が笑ってる。


「ゴメンね、金田くんデリカシーないから。」


大輔が苦く笑う。
すると私の隣の扉が開いた。


「あ、よかった。まだいたんですね!」


出てきたのは、桐谷。
普通にオシャレな格好だ。


「もう帰るけどな。」

「でしたら、出口あっちですよ。」


カッコつけて私達のまえに歩いて行った金田だが、出口は反対。
ちょっと頬を染めた。


「っ///!じゃあな!」


180度回転して、早足で歩き始める。


「金田先輩!」


桐谷の声に金田は立ち止まって振り返る。


「ありがとうございます!」

「おー!がんばれー。」


ニッと笑った金田は直ぐに前を向き、振り向かず返事をした。
私は金田を追いかけるように続いた。


「かっこ付けんなよ、"兄ちゃん"」

「はんっ。おめーみたいな、雌ザルを妹にしたかないね。」


沢村先輩は立ち止まり、桐谷をみて一言言った。


「私たち生徒会は、生徒の充実のため動いています。生徒会は全力であなたを応援していますよ。」