俺とキンちゃんは中学が一緒だから、必然的に帰る方向が一緒だった。
先週も一緒に帰ってたんだ。


「でさ。俺には教えてくれていんだよー?キンちゃん!」

「何様だよ!まぁ、仕方ないなぁ。」


キンちゃんは眉を寄せて苦笑いした。


「俺の予想だと、芸能活動。」

「へ?あんな地味キャラが?」

「先輩に調べてもらったんだけど、桐谷がスカウトされたのはアイドルグループの事務所で、レッスンを受けてからオーディションがあるらしい。」

「そのレッスンが火金なわけ?」

「そう。好きな日に、レッスンを入れることが出来る。桐谷はどうしても書道部に行く理由が有るんだ。」

「……理由は…季夜ちゃん?」


キンちゃんは一瞬驚いたように止まり、直ぐに苦笑した。


「ホント、そこは鋭いよな。マルちゃん。」

「桐谷は書道部の季夜ちゃんが好き。でも季夜ちゃんは地味キャラが嫌い。」

「なんでそこまで知ってんの!?まあ、そんな中、スカウトされてオーディションを受けたわけ。」

「なーるほ!」


ポンと手を叩く。
一途だなー桐谷章太。
アイドルになって振り向かせるわけね。
それに桐谷と季夜ちゃんは幼なじみらしい。


「後は、どう解決するか、なんだよなー。」

「キンちゃん。」

「なんだよ…また企んでるな。」

「うん!火曜日って短縮4時間だよね?その件俺に任せてくれない?」

「端っからその予定。因みに火曜日がそのオーディションの日。」


キンちゃんはニヤリと笑い、俺もつられて笑った。
俺が拳をキンちゃんに向けると、キンちゃんも同じようにして拳をぶつけた。