「玲二。」

「なんだ。」


2人しかいない生徒会室に響く、幸高のパソコンの軽やかなタッチの音。
流石タイピング学年一位の腕前。
対しての俺は、企画書の作成と意見書をまとめた(佐々木作)に目を通している。


「玲二目線で栗原さん、どうみてる?」

「…さあな。お前が勧誘したんだから」

「私じゃなく、君の目線で。」


話を妨げられたので、顔をあげると幸高は不適な笑みで俺をみる。
またコイツ企んでるな。


「…ふっ。」


つい笑ってしまった。


「期待してる。」

「同感。流石だよね、理事長。」

「お前もな。」


そういうと幸高は、ありがとうと満足そうに笑った。
俺お前のその笑顔嫌いなんだ。
お前のせいで変な威圧感を纏うようになった。


「栗原さんてば、早速やってくれたよね。いつも自主的に動かない2年生を赤丸くんまで仕事させて。」


サボリ魔赤丸。
口説いた女は星の数ほど…まではいかないが、生徒会一の女好き。
だが、その女から得る情報量は半端じゃない。
話している幸高はいつになく楽しそう。
栗原竜希。
妙なものを拾ってしまったようだ。
俺は残りの3ヵ月で何かが起こりそうで、そして3ヵ月後に控える生徒会選挙を見据えながら、不意に笑った。