「…隆樹くんを誘拐したこと…。金田くんにヤキモチ妬いたこと。 」
「え?オレ?」
金田が頭をかいてキョトンとする。
私は驚いたが、ふっと笑い優花を抱きしめた。
「金田のことは、悪くない。むしろ…仕方ないんじゃないか。苦しかったんだな…。」
私はまだ恋心とか言うのは分からない。
噂によれば、辛いときは本当に辛いらしい。
でも、辛ければ誘拐しても良いわけじゃない。
「で、誘拐の件と栗原組の件。どうするの?栗原さん。」
会長が私の隣にやってくる。
私は少し考えて答えた。
「私は…私たちが誘拐の件を黙認する代わりに、優花にも栗原組のことは黙っててもらいましょう。なあ、隆樹…あれ?」
隆樹の方を向くと未だ口にはガムテープが。
喧嘩に夢中でみんな隆樹助けるの忘れたのか。
ガムテープを剥がすと、隆樹は話し始める。


