そりゃあっという間だった。
80もいた不良どもが見る見るに倒れていく。


「ははっ。佐々木くん。」

「なんですか?」

「私は何しにきたんだろうな。情けない。」

「栗原先輩は凄いです。普通こんなとこ一人では来れません。」

「そりゃあ私と優花の問題だからだろ?」

「花園先輩は…一人でなんとか出来ないと思って、あんなに連れてるじゃないですか。あなたは一人で80人を倒そうとした。凄い勇敢ですが…危なっかしいですね。」


へへっと笑う佐々木。
可愛い顔しやがって。
今時はみんな顔が整うもんなのか。


「だから金田先輩は…まず僕たちに連絡したんじゃないんでしょうか。あなたが一人で傷つかないように。」

「金田…が…?」


なんであいつが私のこと理解してる?
気が付けば不良どもは数人だけだった。
しかし金田が優花の胸ぐらを掴む。
さすがにそれは!!


「止めろ金田!!!!」


金田は一瞬動きを止めた。
だが胸ぐらは掴みっぱなし。


「なんで?コイツも悪だろ。」

「ちがう!!」

「ちがわねぇ!!」


再び金田は拳を振り上げる。
目が本気だ。
止めなきゃ!!


「…つっ…金田ぁ!!今からお前は私の舎弟だ!!命令を聞け!!」

金田の拳は止まる。
金田はちっと舌打ちして優花を離した。
私は佐々木にサンキュと言うと金田と優花の元に歩いた。
足が重い。
私が目の前に表れると優花は怯えた。
今にも泣きそう。
私は手を振り上げる。
優花はぐっと目をつぶった。


「本当はね、このまま優花を殴りたい。」


え?と優花は目を開いた。


「弟に手を出したから。私はそれくらい怒ってる。」

「っ…。」


ついに優花は泣き始めた。


「私は暴力だけで解決する問題はないと思ってる。ヤクザなのにな。優花、自分がした悪いこと、わかってる?」


屈んで優花と目線を合わせる。
優花は涙で化粧が落ち始めてる。