「あ、…ごめん……」
沙弥香はいつもボールに間に合わないちょっと臆病な子。
レシーブを上げられなくてちょっと俯いた。
(また沙弥香ミスってるー。)
(今のリューちゃんが取った方が良かったんじゃない?)
(てゆうか、今の取れない方がおかしいよ。)
「……………」
「ドンマイ!沙弥香!あとちょっとだな!ちょっとでも触ったら、私がカバーするから!!」
沙弥香は自然と下を向いてしまった。
こういう時って誰かに声かけて欲しいんだよね。
誰でも苦手分野があるからね。
「…無理だよ…私には出来ないよ…」
「……!」
「だから…リューちゃんが…」
「嫌だね。それじゃ楽しくないもん。」
「っ!!」
「さっ次々ぃ~!!!」
いくら苦手でも人に任せたら自分が伸びない。
みんなでやるのがバレーなのに、みんなでやんないでどこが楽しいのさ。
下手くそでも頑張ってろ!ってのが私の考え。
【国木田side】
「…栗原かあ。」
体育教師、国木田稔は呟いた。
栗原はいつもクラスの中心。
いつも楽しそう。
今の高校生にはあまりいないタイプ。
何事も全力。
教師としては、こういう生徒がいて嬉しい立場だ。
そう思ってうんうんと頷いた。
「誰かいい子いたんですか、国木田先生。」
「なっ、沢村!お前授業はどうした。」
「自習になったんですよ。だからクラス抜けて国木田先生に報告に来たんです。意見箱の中身に珍しく推薦書が。」
沢村幸高。
今現在の生徒会長。
なかなか真面目なメガネの青年だ。
俺的には、THE生徒会長という感じでなかなかお気に入りだ。因みに俺は生徒会担当。
つっても運営は全部こいつ等がやる。


