一瞬清水先生の背後に黒いものが見えた。
噂の天使のような清水先生の背後に鬼が見えた。
一瞬だけ。
「じょ、冗談冗談。」
キーンコーンカーン
「鐘もなったし、元気なら帰りなさい。…国木田先生、アナタもですよ。」
「わかったよ。」
国木田先生は重い腰をあげた。
赤丸もベッドから降り、国木田先生に続いて行った。
赤丸も生徒会なんだよな。
いいのかサボって。
赤丸俊樹…意味わからん。
私も保健室を出ようとしたとき。
「あなた、栗原さんだったかしら。」
「え…ハイ。」
呼び止められた。
背後に鬼はいない。
むしろ蝶が飛んでる。
「私ね、人より第六感が強いんだけど…アナタ、これから大変よ?」
「…なにが…ですか?」
「そこまでは分からないわ。でも、その腕で抱えきれないような…何かね。少し気を抜きなさい。」
「大変なのは、これまでもです。慣れっこです。ご心配ありがとうございます。」
そういうと清水先生は微笑んだ。
清水先生は一歩前にでる。
「もし、何かあれば私を頼ってね。アナタみたいな子好きよ。」
「ありがとうございます。では!」
私は走って教室へもどった。
「流石、沢村くんが選んだ子ね。いえ、一橋さんかしら?」
と呟きが保健室に残った。


