【金田side】
校門の前に黒い高級車が止まっている。
下校中の生徒は皆、誰の車か知っているので全く気にしない。
俺もその一人。
なんたってマルちゃんの元カノだし。
だが今日は違う。
なにかやな予感がする。
「……えぇ、リューちゃんの秘密を…弟なら人質にもできるし。」
電話をしながら車に乗る花園をみた。
そして電話の内容も確かに聞いてしまった。
――――攫って損はないから
"攫う"?
まさか花園のヤツ…。
「大輔。」
「なに金田?」
「用事できた。会長んとこいくぞ。」
「え?ちょ、金田?」
俺は真っ直ぐ校舎に戻り、栗原に電話した。
事態は一刻を争う…。
【竜希side】
ブーンブーン
携帯がマナーモードで鳴る。
知らない電話番号。
「はい、もしもし。」
「栗原!!」
「か、金田!?なんでお前私のTEL番…。」
「今すぐに弟に電話しろ!!!弟の居場所確認しろ!!」
「は?なんで?」
「なんでもだ!!」
「はあ?どういう…」
プープープープー
「か、金田!?」
ぶちられた。
何だ…このやな予感。
隆樹に…何が。
「なんで優花の話?」
「元カノだから。」
「そんな理由で…。」
赤丸はベッドの上であぐらをかいてため息をついた。
「重いんだぜ花園。大企業のお嬢様だからか、なんでも思い通りにしなきゃ許せない性格でさ。」
「優花が…。」
「狙った男は逃がさないってさ、俺は捕まっちまった。自分は嫉妬深くて我が儘のくせに、男をすぐに変える。」
女をすぐに変えてそうな赤丸が何をいう。
優花はまあ、女子でも馴染めてる雰囲気じゃないんだけど…。
裏で男関係でゴタゴタしてたからか。
勝手にそう納得した。


