「お嬢!!」
「大丈夫ですかっ!!」
「おい、お前ら…公共の場でその呼び方はすんなっていったろ!!」
お、お嬢?
「すみませんっ!!」
「金田…乗りなよ。」
「は?」
「うちにこい。」
「あの、竜希さん、実はこいつ」
「いいから乗せろって!!」
兄ちゃんたちに腕を掴まれ、車に無理やり乗せられた。
…え?
なんか俺誘拐されてるみたいじゃね?
そしてオレは強制的に栗原家へ送還された。
数分すると目の前には和風の豪邸が。
旅館かと思ったが栗原と書かれた表札が何よりの証拠。
「ただいま。」
「おかえんなさい、お嬢。」
やっぱりお嬢。
つまりなんかデッカいお家の娘なわけだな。
「お嬢、その後ろの方は」
「学校のモンだ。客室に通せ。轟。」
「はいっ。」
さっきの3人組の一人、一番身長が高いやつが案内します、と顔に似合わない敬語を使ってきた。
そのまま轟さんの後についていく。
振り返ってみたが、すでに栗原はいなかった。
俺の脳裏には栗原の轟さんに命令した時のキリッとした表情が残った。
ああ、これが魅力か。
生徒会としての能力か。
…それにしてもここは広い。
「こちらです。」
障子を開くと誰もいない客室があった。
「お嬢が来るまで少しお待ちください。」
轟さんはペコッとして障子を閉めた。
ついこの間ケンカした奴には見えない。
俺はぼへーと周りを見渡すしかやることがなかった。


