沢村先輩は颯爽と帰った。
いつもなら発狂する位嬉しいのに今回はモヤモヤする。
初対面にこいつ呼ばわれしたぞ。
取って食うてどういうことだ。あれか、貞操の危機か。
アダルティな展開か。


「おーい、聞いてんのかーい。」

「大変申し訳ないのですが、栗原竜希の貞操は本気で好意を抱いた人にしか渡さないので!!!!!」

「は?貞操?……なんの話だ?」

「あれ、貞操関係ない?」

「いや全く。…取りあえず時間がないから簡潔に話すけど。」


なんだ関係ないのか。
勝手に焦ってバカみたいじゃないか。
突然貞操とか言い出した私変態じゃないか。
…まあ、取りあえず一安心。


「お前危険なんだ。」

「…頭が?知ってる知ってる。」

「ちげーよ。身の危険だ。狙われてんだよお前。」

「はい?というか名前呼んでください。私は栗原竜希!」

「…悪い。最近栗原周辺で不審なやつがいるって生徒会に依頼が来たんだよ。」

「ふ、不審者。」

「栗原、人望厚いからな。心配されてんだ。注意しろよ。」

「あれ、心配してくれてるんですか?」

「ちげーよ。栗原は生徒会勧誘中と来てる。注意しないわけにいかないだろ?」

「ご心配には及びません!私、強いんで!」


不審者で弱気になる栗原竜希じゃないの。
私を誰だと思ってんの?
栗原組の次期統領だよ。
護身術は習ってるし、そこらの男には負けないよ。
金田は黙るとため息を付いて、わかったと言った。


「俺は注意したからな。どうなっても知らなねぇぞ。」


とか言ってクラスへ戻って言った。



…てか私、あいつと初対面だよね。
妙な感覚を覚えた。