邦是光はあの日からパタリと来なくなった。

無意味に近づいて来なくなったし、挑発にも来ない。

もちろん琉花に接触している様子もない。

それどころか休み時間はファンらしきの女子と交流。

放課後はバスケ部に入り、練習に励んでいるらしい。


最近は犯罪王子としての事件も起こしてないし。

まぁ、何も起こらないのが1番なのだが・・・。


「先生ぇえ・・・

宿題やってなくて居残りになっちゃったんですよ・・・

部屋の鍵貸してください」

「部屋は駄目だ。

教室でしろ。」

「え・・・?なんでぇ・・・?」

邦是はどんな鍵でも簡単に開けるんだよ!

放課後、一人でポツンと部屋にいるところ狙われたらどーするんだ!?

「ゴタゴタ言わずにサッサとやれ。

ほんでサッサと帰れっ!」

「なんで・・・そんな意地悪言うんですか・・・?」

・・・心配なんだよお前の事が!!

邦是が大人しくても心配なんだ。




「・・・先生?」

はっ

「いーから早く帰れよ。

遅くまで残るな。」

「・・・」

そんな目で見るんじゃねーよ・・・。

邦是が部活してる間に帰らないと危ないんだって。


琉花は部活とかしてないから、
前のように用事が無ければ
学校が終わると真っ直ぐ家に帰る。

だから俺は安心していた。

ストーカーみたいな真似して、琉花困らせなくて済むし。

なのに

「あのね、宿題っていうか、夏休みの宿題、一個だけ出すのずーと忘れてて、プリントの束が残っててね・・・」

俺をどれだけ心配させるんだ!

遅くなって人っ気の無い帰り道で邦是と
鉢合わせになったらどーする!?