カラオケを断って、わたしはなんとなく 土手に来た。 下の方では、子供達が野球をしている。 笑い声をあげて。 もうすぐ夕暮れだ。 ーーーー♪ピリリリ “ 斎藤 裕也” ー彼氏だ。 わたしはそのまま、携帯の音を聴いていた。 鳴りやまない着信音。 遠くで聞こえる子供達の無垢な笑い声。 穏やかな、風音。 草の擦れ合う音・・・ー 「携帯、鳴ってるよ?」