靴を履くのは面倒だから、サンダルを引っ掛けて玄関のドアを開けると、目の前には春が嬉しそうな顔をして立っていた。


「春……こんな時間に出歩いて親御さん心配するわよ」


「さすが、葵さん♪教師らしい言葉…」


そう言って悪戯っぽい笑みを浮かべた後、私の唇に軽くキスをしてきた。


「もう……からかわないで。」

辺りは暗いから、きっと私の赤い顔は見えてないはず。


私達は、2人肩を並べて歩き出していた。――さすがに8時を過ぎれば、人はまばらで誰も歩いていない寂しい道路だ。