「からかってるんじゃないよ」

「分かった、分かった」


紅茶をテーブルに置いて、キッチンに戻ると祥太くんは付いて来た。


「何?」

「ほんとに言ってるんだよ」

「え?」

「ねぇ、今度の休み…」

「祥太くん」


いきなり名前を呼ぶと、びっくりしたように私の顔を見てくる。


「もしかして、駅で女の子といる所見ちゃったから、それ誤魔化す為に毎日うちに来てる?」

「は?」

「本命じゃなかったから、その子に会わない為とか」


怪しむように祥太くんに聞くと、祥太くんは何故か笑い始めた。


「そんなわけないじゃん」

「え?」

「何、ヤキモチ?」

「はぁ!?」

「舞さんに会いに来てたんだよ。ここでしか会えないから」

「…え?」


祥太くんは軽い笑顔だけど、ちょっと真剣な顔。


「今度の休み、俺と遊園地行こうよ」


最近、近所に出来たデートスポット。

一緒に行くの?
なんで?

そう思ったけど私は結局、断る理由を見つけられなかった。


「い、いいけど…」

「ほんとに?ありがとう!!」


さっきまでの強気な態度が嘘のように、ふにぁっとした笑顔を祥太くんは私に見せた。