「舞さん、ヤキモチ?」

「え?」

「ごめんね、嘘です。冗談が過ぎた」

「…うん」


小さなおぼんにカップ2つカップをのせて祥太くんに渡す。


「ありがとう」

「うん」


祥太くんは何故か少し、寂しそうに雄紀の部屋に帰って行く。

ヤキモチなんかじゃない。

ただ、祥太くんには祥太くんの世界があるんだと思ったらちょっと悲しくなってしまっただけ。


祥太くんは、それから毎日のようにうちに来た。


「舞さん、おかえり」

「あ、ただいま。また来てたんだ?」

「うん。お邪魔してます」


最近、この会話が日課のようになっている。


「弟の存在は無視なわけ?」

「そういうわけじゃないけど…」

「大体、祥太もよ。なんでこんなのと仲良くするわけ?ブスじゃん」

「雄紀、誰に口聞いてんの?」


可愛い弟を笑顔で威嚇する。


「ていうか、舞さんは可愛いよ」

「は?」


雄紀と声がかぶった。
可愛い?
私が!?


「祥太くん、お姉さんからかうのもいい加減にしてね」


祥太くんが大好きな紅茶と、買って来たクッキーを二人の前に出す。