「そういえば…」

「え?」

「俺、舞さんの部屋初めて入った」

「そうだっけ?」

「女の子の部屋だ」

「汚いでしょ?」


私は、ちょっと困ったような顔をしながらイスから立ち上がる。

「きれいだよ。モノトーンでまとまってて」

「ほんとに?ありがとう」

流れで、部屋を出て祥太くんは雄紀の部屋に、私はキッチンへと向かう。


紅茶が良い、なんて蒸らすから十五分はかかるのに。

好きなのかな、紅茶。


「よし、後十分か」


真後ろにあるキッチン用の少し縦長のイスに座る。


「舞さん」

「祥太くん。ゲームは?」

「雄紀に任せて来た」

「そんなに紅茶待ち切れなかった?」

「違うよ。舞さんと話たかったから」


少し真剣な顔。
ドキッとしたけど平常心を装って、笑顔を祥太くんに見せる。


「私と?祥太くんは皆に優しいから彼女さんが大変だ」

「俺、彼女いないもん」

「いるでしょ。前、見たよ?駅で女の子といるの」

「それは…友だち、だから」

「ふ~ん」


十分経った。
私は棚からティーカップを出す。