オルゴール






「雄、食べ過ぎ」

「腹減ってたんだよ」

「家で食べて来なよ」

「うっせぇ」


雄紀がファミレスでひたすらご飯を食べてる。
私はお腹がいっぱいだから、つまんない。


「買い物~」

「待って!!」

「馬鹿」

「これで終わりだから」

「はいはい」


私は背もたれに体重をかける。
はぁ、と息を吐くと耳に店のBGMが届く。


「これ何の曲だっけ」

「え?」

「この曲」

「あぁ…あれ、祥太と姉ちゃんが好きなやつ」

「あ、そうだそうだ」


曲名が分かったとき、ちょうど雄紀もご飯を食べ終わる。


「うし、行くか」

「うん!!」


私は雄紀と腕を組む。
後ろからは、舞たんと祥太が好きな曲が聞こえてくる。


「ねぇ、雄ちゃん」

「何」

「なんか幸せ」

「はぁ?」

「思ったから言ってみた」


組んだ腕にギュッと力を加える。

雄紀は自覚がないけどモテるから、色々大変で辛くなることもあるけど、それでも私は雄紀が大好きだ。



ずっとずっと、大好きです。

後ろからはオルゴール調の曲がまだ聞こえていた。