デート当日。
いや、俺が勝手にデートって言ってるだけだけど。

俺はらしくなく、三十分も前に約束の場所についた。


「俺、ガキかよ」


ちょっとガッツいてるみたいで自分自身に引いてしまう。


「祥太くん」

「あ、おはようございます」

「私の方が早いと思ったのに」

「うん。なんか早く来ちゃった」


ハハッと笑って誤魔化す。
約束の事件まであと、二十分。

集合がすんでしまった。


「舞さん」

「ん?」

「可愛いね」

「えぇ?」


何、言ってんのって舞さんは笑うけど、俺はそんな舞さんも可愛くて、抱き締めたくなった。


「うし、じゃあ行こうか」

「うん」


抱き締めたい衝動を押さえて、無許可で舞さんの手を握る。


「楽しみだね」

「うん。あのね、パンフレット見てみたんだけど、最後、観覧車乗ろう」

「観覧車?」

「景色、キレイに見れるんだって」

「へぇ~、楽しみだね」

「うん」


手を繋いで、抵抗されなかったからちょっと調子に乗ってしまいそう。

だって舞さん、本気で可愛いんだもん。