「今はそんな話してるんじゃないでしょ?」

「俺も今そんな話してる場合じゃないの」

「え?」


祥太の言葉に、亜也が眉をひそめた。


「雄紀の姉ちゃんと明日、デートなの」

「え、舞ちゃん?」

「うん」

「何、友だちのお姉さんに手出してんの?」

「なんで、そうなんだよ!!」


二人の会話を聞きながら、俺は残り一口になったうどんをすする。

俺の話は、また後ほど。
今は、姉ちゃんと祥太の今後が気になる。
それは、亜也も同じだったみたいだ。


「雄紀はなんで黙ってんの?」

「姉ちゃんは嬉しそうだし。泣かせないって約束したし」

「こいつ、女の涙が好物よ」

「知ってる」

「お前らの中で俺はどんなキャラだよ」


苦笑いしながら、祥太は席を立つ。
俺には、逃げたようにも感じた。


「明日はデートすんの?」

「夕方から」

「夕方?」

「まぁくん、仕事だから」


七歳年上の匡史さん。

俺らにも優しい人、亜也の彼氏にしては普通な雰囲気の人で、何故か見ていてホッとする。