「さな」

私は君が私の名前を呼ぶその声が大好きなの。


声のするほうには、必ず君がいるから。



今日もその愛しい声が私を呼んだ。


「何?隼人」

私はいつもどおり振り向いた。


声の主は隼人。

私の幼馴染。

そして、片思いの人。


「日本史の教科書貸して?」

「また忘れたの?次忘れたら貸さないから」


私は呆れながら隼人に教科書を手渡した。


「そー言って、いっつも貸してくれんじゃん」


隼人は教科書を受け取ると


「サンキュ。お礼!!」


と言って

私の好きなイチゴミルクを机の上に置いていった。




「いいよね~。あんなイケメンの彼氏がいて」


前の席に座って一部始終をみていた奈々が言った。



「彼氏じゃないからwてゆーか、イケメンの彼氏がいるのは奈々のほうでしょ?」


「だめだめ。李玖はイケメンのふりしてるだけだから」


奈々の彼氏の李玖君は、道行く人が皆ふりかえるほど、きれいな顔立ちをしてる。


隼人もそこそこだけど、李玖君には負けちゃうよ。




私はイチゴミルクを飲みながら、奈々とさっきの話の続きしはじめた。