すごく気分が悪い…



化け物とは言え殺してしまったのだ




この手で…


最初から殺すつもりで挑んだ…





でも…



でも…



殺すって…こんなにも辛いことなのか…


想像してることよりずっと辛い…


これはまだおれが甘えているということだろうか…

やつを殺した手はまだ震えていた



いや…気づけば全身がガクガクと震えていた



殺しておいて何で自分が無事に現在(ここ)にいるのだろうか…



おれがガクガクと震えていたとき…



そのとき肩を優しく叩かれた

返事をする気も起きなかった…


ただ震えているだけ…


縮こまって震えているだけ…


また叩かれた

おれは同じ反応を繰り返した


「鐵…」


「あいつは化け物だ…人を殺したんだ」

「分かってる…」
「なら誰かに殺されても仕方ないじゃない?」

「…おれは…?…おれはどうなるんだよ?!おれも殺したんだ!何で自分だけが生き残ってぬくぬくとここに存在して!おれはこんな辛い思いするくらいなら死んでしま…」


姉の手のひらがおれの頬に正気を取り戻してと言わんばかりにデカい音をたててその場を静かにした