「もう、後戻りできないんだよ、早和。」
自分に言い聞かせた。
その時、すぐ後ろで足音が聞こえた。
「誰?」
振り向いて尋ねるが、誰もいない。
気のせい・・・?
また歩き始めると、確かに後ろから自分ではない足音が聞こえた。
早和は今度は振り返らず、一気に走り出した。
しかし、早和のハイヒールの音よりもその靴音は早く、すぐに腕をつかまれてしまった。
「誰よっ。」
真っ暗でよく見えないが、その顔はどこかで見たことがあった。
「やっとこの日がきたんだよ。前からあなたが欲しかった。」
時々、栄人達のマンションの近くで見掛けた男だった。
愛想がよく、早和と挨拶を交わしたこともある。
しかし、今の男は歪んだ笑みを浮かべ、全く別人のようであった。
早和をズルズルと草むらの方へ引きずって行く。
助けを呼びたくても、恐怖と、口を手で覆われている為声が出ない。
ただ、財布に付けていた母親の形見の鈴だけがリンリンと小さな音を鳴らした。
自分に言い聞かせた。
その時、すぐ後ろで足音が聞こえた。
「誰?」
振り向いて尋ねるが、誰もいない。
気のせい・・・?
また歩き始めると、確かに後ろから自分ではない足音が聞こえた。
早和は今度は振り返らず、一気に走り出した。
しかし、早和のハイヒールの音よりもその靴音は早く、すぐに腕をつかまれてしまった。
「誰よっ。」
真っ暗でよく見えないが、その顔はどこかで見たことがあった。
「やっとこの日がきたんだよ。前からあなたが欲しかった。」
時々、栄人達のマンションの近くで見掛けた男だった。
愛想がよく、早和と挨拶を交わしたこともある。
しかし、今の男は歪んだ笑みを浮かべ、全く別人のようであった。
早和をズルズルと草むらの方へ引きずって行く。
助けを呼びたくても、恐怖と、口を手で覆われている為声が出ない。
ただ、財布に付けていた母親の形見の鈴だけがリンリンと小さな音を鳴らした。
