それから五年間は辛かった。俺が辛い思いをするのは構わないけど、なるべく迷惑をかけないように頑張っている優人に向かって、毎日のように叔母が言うんだ「この役立たず!」ってね。優人は叔母をこれ以上不機嫌にしないように、いつもビクビクしながら謝ってた。それでも俺に「また言われちゃったね、耳にタコができるよね。」って笑って言うんだ。そんな優人を見るのが辛くて、俺はとにかく一日でも早く家を出たかった。だから、俺が二十歳になり、優人が中学になった年に二人暮らしを始めた。それから四年して早和と出会い、二年後の今日、こうしてプロポーズしている・・・。これが全てだよ、早和。やっと話すことができた。両親もいないし、親戚とも今は一切付き合いがない。だから、誰も助けてくれないから、これからの人生大変な時のほうが多いと思う。それでもよかったら、早和、結婚して欲しいんだ。」

栄人の目は、真っ直ぐ早和を見ていた。その中に、早和に全てを話した安堵感があった。その目を見つめ返す早和の心は複雑で、思わずまた涙が溢れてきた。

「早和、どうしたの?」

栄人は戸惑っていた。
「栄人、私もプロポーズの返事をする前に、聞いてもらいたいことがあるの」