もうすっかり夜。



あたしは夜の魔法にかかったことがない。

現実を何も知らなかった。









会話が途切れると目が合った。

顔がゆっくり近づいて唇が触れ合う。



何度も、何度も。

段々深いキスになった。





「もう夜も遅いし俺の家来ない?」

「うん・・。」






駅から家が遠いあたしは
送り迎えを親に頼んでいる。

だけど今はもう親が寝ている時間だった為帰る足がなくなってしまった。






彼の家はここから近い、あたしも知っているマンション。

彼も実家暮らしだからこんな時間に失礼だったけれどお邪魔させてもらった。






「寝よっか」
「うん。」


あたしは彼の横に寝た。




「瀬莉・・。」
「ん・・?」




彼はまた優しくキスしてきた。

段々深いものになっていき

あたしと彼は一つになった。



「好きだよ。」

「あたしも・・。」















浮気というものを完全にしてしまった。









あたしのバッグの中のケータイはずっと鳴っていた。