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「夏・休・み☆


それは恋人たちにとって甘~っい季節♪」


親友のリコの声が手を絡めてうっとりと宙を見上げた。


「ぇえ!!恋人たちの甘い季節っていやぁ冬だろ?クリスマスにバレンタイン…」


「バカねぇ♪朔羅ったら☆」


リコはウィンクするとあたしのおでこを指で軽く弾いてきた。




「海に山☆プールにバーベキュー!花火大会もあるし…それから、それからっ!


彼氏とドキドキ一泊お泊りデートコース!!」




リコのはしゃいだ声にあたしはピキっと固まった。


「お、お泊りって早くね??」


何とか答えるものも、


「“それ”を持って言う??」とリコはにんまり笑顔で、あたしの手に握られているそれを見た。


“それ”とは下着セットのこと。


淡いピンクの花柄で、レースやフリルがついた可愛いの。


そう、リコと今居る場所は―――





街のショッピングモールの下着売り場!


このショッピングモールに行くことは、終業式が終わって決めたことで、リコと二人で買い物しようと思ったら、


何故か千里とキモ金髪野郎…もとい進藤もくっついてきやがった。


って言っても、あいつらには適当に言いくるめて他をブラブラさせてるケド。



戒は―――


誘ったら、キョウスケと約束があるとか言って一人で帰っていったっけ??


あいつ今頃何してるんだろうな。


って、ちょっと離れただけなのに!!何であたしこんなに寂しいのっ!!?