あの勢いだったら響輔は自分の気持ちを、自分自身で伝えるに違いない。


それまでは黙っておこう。響輔の気持ちは響輔のものだ。


俺が言うわけにはいかない……な。





夜中の2時。パジャマパーティーはお開きになった。


「それじゃな、キョウスケ。おやすみ」朔羅がにこにこ手を振る。

「おやすみなさい」響輔は眠そうに目をこすりながら、何とか答えていた。



「おやすみ~♪響ちゃん♪」



俺が意味深に笑うと、響輔は力尽きたようにバタッと床に崩れ落ちた。


どうやら俺が盛った薬が効いたようだ。



へんっ!ざまぁ、響輔!!


朔羅は俺がイタダキだ!!



―――と言うわけで、今に至る。





途中、朔羅にぶん殴られるし、しかも今度はマジでバラバラにされそうになるし……タクさんの乱入もあった。


「萎えた」なんて朔羅には言ったけれど、正直俺は朔羅を自分のものにするのが少し怖かった。


何せ朔羅は雪斗との過去がある。


葬り去りたい―――過去。





こだわってるのは朔羅か。


それとも俺、か。






まぁこだわるって言っても、こいつが他の男のもんだったからイヤってことはないけれど。


それで朔羅が俺に対しても同じ恐怖を感じたら、


―――結局俺は雪斗と同じだ。





龍崎 琢磨、響輔。


あいつも朔羅のこと好きだっけね。……一ノ瀬。


それから川上には「朔羅のことを泣かしたら許さない!」とまで言われてる。




それぞれに好きな気持ちがあって、それぞれ違う愛情を朔羅に抱いていている。



だけど俺にとって一番高い壁ってのは、






―――もしかして、雪斗なのかもしれねぇな。






そんなことを考えながら、俺は朔羅をぎゅっと強く抱きしめて目を閉じた。






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