知るか……
「ってかあたしコーヒーなんてあんまり飲まないもん。濃いか薄いかなんて分かんないわよ」
あたしはプイと顔を背ける。
あんな真剣な顔して、何を考えてるのかと思ってたけど、あんたはコーヒー豆のソムリエかっつうの!
あたしがこいつに恋!?嘘だと言ってほしいわ。
それでも…
ガタンガタン……と揺れる新幹線の音に呼応するように、
ドキン、ドキンと心臓が鳴る。
それを押さえるためにあたしはぎゅっとさっきのテディを握った。だけど握ると、それ以上に心臓が煩く鼓動を早める。
「あんたは紅茶派か。ブログに書き込も」
響輔は相変わらずマイペース。
「ってかあんたブログなんてやってないじゃん!」
「暇があればやってみよかな。タイトルは
“一結のお部屋”
あんた狙いのオタクがわんさかアクセスするで。ワンクリック100円取ったら儲かるな」
また
一結って……
だけど…
「ワンクリック100円って!!あんた金取るの!」
「当たり前やん。こっちも慈善事業やない。何で好き好んで俺が一結の日記なんて付けなあかんねん」
………!!
前言撤回!
こいつ嫌い!やっぱ嫌い!!